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ゲンの叫び 届けたい 松江の市民劇団 29日朗読劇 被爆70年 思いを胸に

 松江市の市民劇団「幻影舞台」が、漫画「はだしのゲン」を題材にした朗読劇を29日午後6時から同市新町の洞光寺で上演する。過激な描写を理由にした市教委の閲覧制限を機に、2年前に始めた公演。被爆70年のことしは広島公演を成功させ、団員たちは特別な思いで稽古に励む。(西村萌)

 「声の強弱で臨場感を」「『けど』じゃなくて『じゃが』だろ」。週2回、稽古を重ねる同市千鳥町の宍道湖しじみ館で、主宰者清原真さん(66)の指導に力が入る。身ぶり手ぶりを交え、小道具も使う。

 公演は通算5回目。漫画の閲覧制限が問題になった2013年の10月に初公演した。広島市に原爆が投下されるまでを描き、ゲンや父大吉、母君江たちを11人で演じる。

 団員が「ゲンの地元で受け入れてもらえるか不安だった」と口をそろえる7月の広島公演には70人が集まった。主役を務める安来市のアルバイト日向純平さん(22)は終了後、高齢の女性から声を掛けられた。「ゲンをやってくれてありがとうと。里帰り公演した意味があった」と手応えを語る。

 稽古中も「なぜ一般人が巻き込まれたのか」と意見をぶつけ合い、芝居は深みを増す。清原さんは「70年を機に語り始めた被爆者もいる。悲劇を忘れてしまった世の中に、あらためて痛烈なゲンの叫びを届けたい」と話す。

 広島市の被爆体験伝承者で廿日市市の主婦三嶋千賀子さん(65)による一人芝居「あの日の川の記憶」もある。前売り券は一般2千円、大学生以下千円。当日券はいずれも500円増。清原さんTel090(7503)4689。

(2015年8月23日朝刊掲載)

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