×

ニュース

檀家の戦争体験 冊子に 29日 福山・蓮華寺の催しで配布 副住職浦山さん 遺族らから聞き取り

 福山市今津町の蓮華寺の副住職浦山慈水さん(42)が、檀家(だんか)から聞き取った戦争体験談などを冊子にまとめた。戦後70年に合わせた催し「平和への祈り」を29日に同寺で開き、冊子も配布する。戦地や満州(現中国東北部)から故郷の家族に宛てた手紙なども展示する。

 冊子はA4判、31ページ。戦争体験者や遺族6人の話を収めた。1945年3月に硫黄島の激戦で亡くなった今津町出身の矢野卓衛さん=当時(26)=の遺族からは、戦死の半年前に矢野さんが父に送った遺言書も託され、掲載した。

 「今日まで私を育ててくださったご恩に対して深く感謝しお父様のお体が健やかであることを祈っています」。浦山さんも子ども2人を育てており、親を思う子の気持ちに胸を打たれたという。冊子は300部印刷。無料で希望者に配る。近くの小中学校にも寄贈する予定。

 浦山さんは2006年から実家の蓮華寺で勤めている。檀家回りをする中で、戦争の体験をあまり語らず、亡くなる人が多いことを知った。

 ことし4月、同市内海町で喫茶画廊を営み、原爆や反戦の絵を描いている画家小川憲一さん(68)=同市沼隈町=と知り合った。同じ戦後生まれの小川さんの取り組みに刺激を受け、戦争体験の聞き取りと平和を願う催しの開催を思い立った。

 浦山さんは「寺と長い付き合いがあったから話してくれた人も多い。普通の人がどんな思いで戦争に向き合ったのか知ってほしい」と話す。29日は午前10時~午後6時。小川さんの作品展示、座談会のほか、紙芝居、フルート演奏、ワークショップなど。同寺Tel084(933)3533。(安部慶彦)

(2015年8月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ