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連載・特集

レンズはとらえた戦後70年 カープ日本シリーズ初優勝 1979 

江夏熱投 名勝負に沸く

 1975年に次ぐ2度目の日本シリーズ。近鉄との勝負は3勝3敗の五分となり、11月4日の最終第7戦にもつれ込んでいた。今も語り継がれる「江夏の21球」。大阪球場に詰め掛けた約2万5千人のファンは、球史に残る名勝負の目撃者となった。

 カープ1点リードの九回裏、近鉄が無死満塁と逆転日本一のチャンスを迎える。マウンドにはリリーフエースの江夏豊投手。左投手ながら、背にした三塁走者の動きからスクイズを見破るなど、守護神の真骨頂を見せた。

 最後の打者を三振に打ち取り、49年の球団創設以来、初の日本一に輝いた。シリーズの最後を飾るにふさわしい劇的な幕切れだった。大歓声の中、古葉竹識監督が宙に舞い、江夏投手はこぶしであふれる涙を振り払う。優勝を信じた広島のファンも喜びに浸った。日本シリーズ制覇はカープ黄金時代の幕開けでもあった。

 79年1月、戦後最大の入試改革といわれた「共通1次試験」が初めて実施された。6月にはアジアで初となる東京サミットが開催。海外では2月にイラン革命が起こった。(村上昭徳)

(2015年8月26日セレクト掲載)

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