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日米開戦軸に語る「大和」 呉・ミュージアム10周年記念 池上・半藤さんらシンポ

 広島県呉市の大和ミュージアム開館10周年記念シンポジウム「終戦70年を語り継ぐ」が29日、同市中央の市文化ホールであった。自治総合センターと実行委員会が主催し、市民たち約1600人が聞き入った。

 東京工業大リベラルアーツセンターの池上彰教授を進行役に、ミュージアム名誉館長の作家半藤一利氏、熊本県立大理事長五百旗頭(いおきべ)真氏、戸高一成館長が、戦前戦後の日米情勢を軸に意見を述べ合った。

 五百旗頭氏は日露戦争から太平洋戦争までの日米関係について、「『友好』から『協調と対抗』へ移り、満州事変を経て『対決』の時代へ変わった」と分析。半藤氏は太平洋戦争に突入した日本を「ドイツの勝利を前提としており、終結プランがなかった」と指摘した。

 旧呉海軍工廠(こうしょう)が建造した戦艦大和に代表される当時の「大艦巨砲主義」について、戸高館長は「軍備で勝てない日本が絶対に沈まない艦を目指した。貧しいからこそ造られた」と指摘した。

 ミュージアムは2005年4月に開館し、ことし5月には入館者が1千万人を超えた。シンポに先立ち記念式典もあった。(小島正和)

(2015年8月30日朝刊掲載)

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