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高暮ダムで「平和の集い」 庄原市高野 過酷労働の犠牲者悼む

 戦時中、庄原市高野町の高暮(こうぼ)ダムの建設での過酷な労働で犠牲となった朝鮮人を悼み、平和について考える「高暮平和の集い」が30日、ダム近くの追悼碑前であった。住民や県内の日本人と朝鮮人の中学、高校生、教員たち約80人が参加した。

 主催する高暮自治会の草谷洋会長(59)が「毎年、生徒の皆さんと過ごすこの日は、私たちにとっても過去の記憶を風化させない貴重な時間になっている」とあいさつ。日本側4校9人の生徒を代表して広島国際学院高2年の久保隅蘭奈さん(16)、崇徳高2年の田村志門君(16)が「この碑が、日本とアジアの人たちとの平和を築く礎として建設された意義を踏まえ、共に学び、行動していきたい」と誓った。

 5人が出席した広島朝鮮初中高級学校からは河潤李(ハ・ユンリ)さん(16)が「共に学ぶ日本人学生の存在は大きな力。今後も交流を深め、差別や蔑視のない社会の実現を目指したい」と述べた。

 高暮ダムでは1940年の着工から約2千人の朝鮮人が過酷な労働を強いられた。碑前祭後、参列者たちはダム建設時の歴史を学ぶ学習会にも参加した。(伊東雅之)

(2015年8月31日朝刊掲載)

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