×

ニュース

東広島市原爆被害者の会 活動が岐路 世話人不足 運営にほころび

 東広島市原爆被害者の会の活動が岐路に立っている。高齢化で世話人が減り、会費徴収ができない地区が増えるなど運営にほころびも。「解散の時期がきた」「続けなければ」という相反する二つの意見が交錯する。

 「慰霊式を被爆70年までやったら解散しよう、と数年前から周囲に伝えてきた」。高山会長は打ち明ける。市内の被爆者の証言集出版など活動を引っ張ってきた。「継承しなければ」という責任も強く感じているが体の衰えにはあらがえず、葛藤があるという。

 会は、市内各地にある複数の被爆者団体を取りまとめる組織。ただ各団体を通じての会費徴収は数年前からままならず、正確な会員数も把握できなくなった。きちんとした総会も開けていない。ことし分で、この日までに死没者名簿への記帳が終わったのは高屋支部の13人にとどまった。慰霊式は県市の補助金頼みだ。

 西条支部は今夏、長年支部長を務めた宮川静登さん(86)=西条町=が高齢を理由に辞めた。後任は不在。宮川さんは「自然消滅状態。見通しが明るい状態で辞めたかった」と残念がる。

 体験継承などを目指し2006年、会の内部に「2世部会」が発足。「親組織」の事務局も担う鈴木利宏会長(56)=高屋町=は市議の仕事との両立に難しさを感じているという。「頑張ってこられた被爆者のためにも慰霊式は続けたい」とした上で、「会が今のままでいいとは思っていない。仕切り直しも視野に検討する」と話している。(森岡恭子)

(2015年8月31日朝刊掲載)

年別アーカイブ