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脱原発 6万人の意思 東京で集会 大江さんら行動訴え

 福島第1原発の事故を受け、作家の大江健三郎さんら著名な文化人9人が呼び掛けた「さようなら原発集会」が19日、東京都新宿区の明治公園で開かれた。福島県の住民を含む約6万人(主催者発表)が参加。都心で「脱原発」の声を響かせ、市民に行動を呼び掛けた。

 既存の原発の計画的廃止と新たな原発建設計画の中止、自然エネルギーへの政策転換を目標に掲げ、呼び掛け人の事務局を務める原水禁国民会議などの実行委員会が主催した。主催者によると、事故後の「脱原発」集会では最大規模という。

 集会で、大江さんは「原子力エネルギーは必ず荒廃と犠牲を伴う」と指摘。原発の存続へ危機感を表し、「私たちはそれに抵抗する意思を持っている」として、集会やデモを通じて政財界に脱原発を迫るよう求めた。ほかにルポライターの鎌田慧さんら呼び掛け人4人も発言した。

 また、福島県三春町で脱原発に取り組む市民団体の武藤類子さん(58)が、県内や避難先からバス十数台で駆け付けた地元住民を代表して登壇。放射能汚染におびえる日々の心情を踏まえ「原発はもういらない。私たちとつながり、助けて」と訴えた。俳優の山本太郎さんも「原発反対」と声を張り上げた。

 参加者はその後、3ルートに分かれ約2~4キロを行進。表参道などを通り、買い物客や通行人に「さようなら原発」と呼び掛けた。

 大江さんらは同趣旨の「1千万人署名」にも取り組んでおり来年3月に政府と国会に提出する。(岡田浩平)

(2011年9月20日朝刊掲載)

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