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戦時下の生活 4人が証言 誰の得にもならない戦争は嫌 益田

 益田市在住の戦争体験者による座談会「戦時下のくらしを語る」が3日、同市本町の市立歴史民俗資料館であった。開催中の戦後70年記念企画展に合わせ同館が初めて企画。4人が体験を伝え、平和の尊さを訴えた。(江川裕介)

 豊田文子さん(86)、山根定市さん(87)、渡辺勲さん(88)、巴さん(85)夫妻が登壇。乏しかった食料や勤労奉仕の苦労などを来館者約40人に語った。

 豊田さんは学徒動員で益田から呉海軍工廠(こうしょう)(呉市)へ。空襲で街が火の海になったり、敵機の機銃掃射から逃れるためトンネルに隠れたりした体験を話した。

 広島に原爆が投下された1945年8月6日の朝は工場の朝礼中。「緑のすさまじい光が走り、雷が一度に何十回も落ちたような音が響いた。呉からでもきのこ雲が見えた」。終戦後、益田に帰る途中、広島駅から見た街は建物も何一つない焼け野原だった。

 豊田さんは「誰の得にもならない戦争はもう嫌。今の平和をずっと守っていかねばならない」と力を込めていた。

(2015年9月4日朝刊掲載)

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