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震災後の行動 小まめに記録を 放射線影響や損害明らかに

 東日本大震災で福島県から広島市南区に避難している衣山弘人さん(53)が、福島第1原発事故後の行動を記録するポイントを示した被災者向け手引を作成した。放射線の影響の証明や損害を明らかにするためで、被爆者の意見も参考にした。他の避難者にも手引活用を呼び掛けている。

 手引はA4判1枚。福島県や同県弁護士会などが、被災者の行動記録を目的にそれぞれ発行する震災行動ノートの利用を前提に、要点をまとめている。

 例えば被曝(ひばく)線量をつかむため、日々の記録の項目を、場所と滞在時間、体調変化を感じた時の様子、飲食内容や量などと細かく例示。家族間で書き留めた内容が食い違わないようにする留意点も示す。

 作成のきっかけは7月。計画的避難区域となっている福島県飯舘村の住民が、その日の行動や食べ物を記録する専用の手帳を作っているのを報道で知り、「遠方の避難者にも必要だ」と思い立った。

 衣山さんは知り合った被爆者の佐久間邦彦さん(66)=西区=を通じて広島県被団協(金子一士理事長)に相談。「将来、被曝量を推定する資料になる」との助言を受けた。

 衣山さんは「福島からの避難者は放射線による健康被害の心配が強い。損害賠償の問題もあり、記録を残して備えたい」と話す。

 手引は、広島弁護士会が23日午後1時から中区の弁護士会館で開く、原発事故の損害賠償請求説明会でも配る。(川井直哉)

(2011年9月22日朝刊掲載)

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