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市長「国基準に従った」 「黒い雨」広島市民の被爆手帳却下 援護区域拡大の要望 継続

 広島市の松井一実市長は7日の記者会見で、原爆の「黒い雨」に国の援護対象区域外で遭い、健康被害を受けたとして被爆者健康手帳の交付を求めた市民39人の申請を却下した市の判断について、国の現行基準に従った対応だと説明した。

 市は手帳の交付申請を受けた59人のうち39人を2日付で却下した。市は一方で要望を踏まえ、国に援護対象区域の拡大を求め続けてもいる。松井市長は実務について「市は国に言われ、やっている。国が取り扱い基準を変えてくれないと、皆さんの要望はかなわない」と述べた。

 却下された被害者たちは取り消しを求め、制度上、市を相手に集団訴訟を起こす方針でいる。「やむにやまれぬ気持ちだと十分に推察できる。ただ提訴された場合は国と協議し、法令に基づく対処をせざるを得ない」とも言及した。

 一方、申請者の残る20人については入市や救護、援護対象区域内への立ち入りの実態を示しているといい「現行基準でも可能性がなくもない」として、調査を急ぐ構えをみせた。(水川恭輔)

(2015年9月8日朝刊掲載)

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