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広島知事も「国基準」 「黒い雨」被爆手帳の却下理由説明

 広島県の湯崎英彦知事は8日の記者会見で、国の援護対象区域外で「黒い雨」に遭い、健康被害を受けたとして被爆者健康手帳の交付を求めた11人の申請を却下した県判断について、広島市と同様に国の基準に従った対応だと説明した。一方、国が定めた援護区域の根拠に疑問を呈し、拡大に向けた要望を市などと続ける考えを示した。

 県はこれまで、交付申請した安芸高田、安芸太田、府中の1市2町の12人のうち11人を却下した。湯崎知事は申請への対応は現行の法律、国の基準にのっとって対応せざるを得ないとの認識を示し、「県に裁量権はない」と述べた。

 ただ、区域の範囲について「科学的根拠がどこまで有効なのか、思うところがある」と強調。現在は、被爆者が被害を証明する必要がある現状にも問題があると指摘し、県や市が継続して拡大を求めていく方針を示した。

 一方、本格的な検討に入る広島空港(三原市)の民営化については、想定されるメリットに言及。「一般論で言えば、運営の柔軟性を高めることで路線が増えたり、周辺の開発によって地域が活性化したりする」と述べた。民営化の是非を決めるため10月に始める調査に関しては「並行して、市町や経済団体の意見を聞く」と表明した。(有岡英俊、樋口浩二)

(2015年9月9日朝刊掲載)

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