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社説・コラム

『ひと・とき』 NHK広島放送局チーフ・ディレクター 大橋守さん ヒロシマの心 発信

 NHKの被爆70年特集ドラマ「赤レンガ」を制作した。「ドキュメンタリーなど『ヒロシマ』を扱った秀逸な番組は多い。ドラマを入り口に、普段、平和や戦争に思いをはせることが少ない人たちも興味を持ってくれれば」と語る。

 米国に住む日系4世の歌手アニー(プリシラ・アーン)が主人公。戦争で引き裂かれた後も日系2世の祖父(宝田明)がひそかに心を寄せた月子(奈良岡朋子)に、祖父の手紙を届けるため広島を訪れる。被爆した月子の過去に触れ、自らできることを考える物語だ。戦争体験者の名優2人の演技や、映画「思い出のマーニー」の主題歌を担ったアーンの書き下ろし曲が響き合う。

 大阪出身。NHKに入り「中学生日記」や連続テレビ小説を手掛け、2012年に広島放送局へ。「よそ者」といいながら、原爆に向き合い「基町アパート」「かたりべさん」と毎年ドラマを制作してきた。

 被爆者に話を聞くのはつらく忍びないという。「70年前で終わらず、継続している悲劇。どう共感し、自らの中で消化し、昇華させるか」。難しさを感じながらも、若者に親しみやすいドラマでヒロシマを発信する意義を語る。「赤レンガ」は11日午後7時半から総合で放送。(余村泰樹)

(2015年9月10日朝刊掲載)

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