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W・マータイさん死去 被爆者ら悼む声 広島訪問時市民と交流

 2004年のノーベル平和賞受賞者でケニアの環境活動家ワンガリ・マータイさんが25日、ナイロビの病院で死去した。71歳だった。植林活動に取り組む非政府組織(NGO)「グリーンベルト運動」によると、ガンの治療を受けている最中だという。

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マータイさんの訃報が届いた26日、被爆地広島でもゆかりの人たちに驚きと惜しむ声が広がった。

 マータイさんは核兵器廃絶にも関心を寄せた。ノーベル平和賞受賞者17人が2009年に中国新聞を通して発表した「ヒロシマ・ナガサキ宣言」に名前を連ねた。昨年2月には広島市を訪問。被爆の実態に触れ、被爆者や若者と交流した。

 マータイさんに被爆体験を語った松島圭次郎さん(82)=広島市佐伯区=は「涙を流しながら聞き入り、『決して繰り返してはならない』と言ってくれた。心がこもっていた」と振り返った。

 広島平和文化センターのスティーブン・リーパー理事長は「環境保護の最も対極にあるものとして、核兵器の恐ろしさを深く理解していた」と悔やむ。

 平和記念公園(中区)で一緒に被爆桜の植樹をした広島市立大国際学部1年の陰山奈穂さん(18)は「今できることに最善を尽くして、と言われたのが忘れられない」、同じく植樹に参加した広陵高3年青山勝士さん(18)は「ごみ問題を皆で意識するきっかけをくれた。元気そうだったのに」と驚きを隠せなかった。(金崎由美)

(2011年9月27日朝刊掲載)

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