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故長田名誉教授 平和メッセージ草案 朝鮮戦争下 武力戒め

保管の教え子、広島大に寄贈

 広島で被爆した子どもたちの手記集「原爆の子」をまとめた故長田新(おさだ・あらた)・広島大名誉教授が、世界の教育学者に平和を呼び掛けたメッセージの草案を27日、保管していた教え子が東広島市鏡山の同大文書館に贈った。朝鮮戦争下の1951年に記され、大国に武力行使を強く戒めている。

 草案は51年5月に広島市であった第10回日本教育学会に合わせて、有志が呼び掛けてまとめた。200字詰め原稿用紙6枚の4枚目と6枚目に、長田さんが「米ソ英仏華のような大国が恒久平和確立のため協力し、現世局を武力で解決するような愚と罪とを犯さないよう熱望する」などと加筆している。

 長田さんの教え子たちでつくる「『原爆の子』をうけつぐ会」の元中学校教員楠忠之さん(87)=広島市西区=が贈った。51年当時、同大の前身の広島文理科大3年で、同学会事務局員だった楠さんが自宅に保管していた。

 今年は「原爆の子」発行から60年の節目に当たり、広島大が平和科目を必修化したことなどを受けて寄贈を決めた。楠さんは「先生は終戦直後にもかかわらず大国の名を挙げて反戦を訴えた。思いを今の学生に引き継いでほしい」と願っている。(山田祐)

(2011年9月28日朝刊掲載)

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