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安保法案に揺れる党組織 広島県内 与党=一部で反対運動、批判も/野党=廃案や修正へ決め手欠く

 参院審議が大詰めに入った安全保障関連法案をめぐり、広島県内の各政党組織が対応に苦慮している。自民、公明の両与党は、支持者たちから疑問や批判の声が上がる。自民党からは、反対姿勢を鮮明にする地方議員も出ている。市民の反対運動が広がる中、野党側は廃案や修正を求めるものの、十分な存在感を示せているとは言い難い。それぞれジレンマを抱えたまま、来週中にも見込まれる参院採決を迎える。

 「(安保関連法案は)法的安定性を覆すもので容認できない」―。東京・永田町の官邸に1日、法案撤回を求める要望書と署名を提出する広島県議の姿があった。自民党籍で、県議会最大会派の自民議連に所属する小林秀矩氏。地元の庄原市議たちと「ストップ・ザ・安保法制」庄原市民の会を結成し、会長として運動を主導する。

処分の声くすぶる

 同じ日、三次市では市議有志が「安保法案反対三次議員連盟」を発足させ、下森宏昭県議(自民議連)も名を連ねた。こうした反対の動きに、党県連には「一枚岩で臨まなければいけない時期なのに」「処分しないと示しがつかない」などの声もくすぶる。

 自民党と連立を組む公明党。安倍政権が閣議決定で集団的自衛権の行使を認めた昨年7月以降、党県本部などに「平和の党の理念は守られたと言えるのか」などの質問や批判が相次いでいる。

 県議会の公明党議員団の栗原俊二団長は「議員で勉強会を重ね、支持者には数え切れないほど説明してきた。しかし戦争につながるとの懸念は根強い」と漏らす。別の同党県議も「このまま参院で採決すれば『強行した』と見られるかもしれない。支持者からどんな声が出るか」と気をもむ。

 一方、国民の反対や慎重論を追い風にしたい野党側も決め手を欠く。

 野党第1党の民主党。党県連では法案が閣議決定された5月以降、森本真治代表(参院広島)たちが広島市内の街頭に立って廃案を訴えてきた。福知基弘幹事長は「国民的な反対運動が広がり、党県連としても後押ししたいと思っている」と強調する一方、「党支持率は決して上がっていない。党への期待度は以前のような熱はない」と打ち明ける。

党の現状に戸惑い

 「党本部からの情報がなく、どう動けばいいか判断する材料がない」と話すのは、維新の党県総支部の灰岡香奈幹事長。最高顧問の橋下徹大阪市長が離党し、分裂状態となった党の現状に戸惑う。

 共産党県委員会と社民党県連合、生活の党県連の3組織は、野党が共闘して廃案に追い込む重要性などを強調する。次世代の党中国ブロック支部は、党が提出した修正案の説明などを重ねている。

(2015年9月12日朝刊掲載)

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