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来年1月にも支給へ 在外被爆者医療費 厚労省が方針

 被爆者援護法に基づき海外に住む被爆者(在外被爆者)への医療費全額支給を認めた最高裁判決を受け、厚生労働省は11日、早ければ来年1月から支給する方針を表明した。在外被爆者の利便性を考慮し、援護法とは別枠で設けている現行の医療費助成制度を存続させる方向で検討していることも明らかにした。

 国会内であった支援団体や国会議員たちとの会合で報告した。国は現在、在外被爆者に対し、保健医療助成事業(原則年30万円まで)を実施している。領収書を提出すれば助成を受けられる。一方、援護法に基づく支給の場合、自分で医療機関から診療録などを取り寄せる必要がある。

 厚労省側は「今ある枠組みを最大限維持したい」と説明。高齢化した在外被爆者の負担軽減の観点から、全額支給の手法について詳細を詰めるとした。

 同事業では、日本で保険適用外の漢方薬や民間保険料も対象にしており、厚労省は今後も各国の医療事情に一定に配慮して対応する意向を示している。ただ、財務省などと折衝して予算を確保する必要があり、事業を維持できるかも含めて行方は不透明だ。

 また厚労省は、過去の医療費も一定条件を満たせば支給するとした。援護法に基づく介護手当については、国内居住が条件などとし「適用できない」との見解を示した。(藤村潤平)

(2015年9月12日朝刊掲載)

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