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中電に安全管理の徹底要望 島根原発虚偽記録報告書で地元 再発防止策に疑問の声も

 中国電力が、島根原子力発電所(松江市鹿島町)の低レベル放射性廃棄物の処理をめぐる虚偽記録問題ついて、原因や再発防止策をまとめた報告書を県などに提出した11日、各自治体は中電に原発の安全管理の徹底を求めた。市民団体からは、再発防止策を疑問視する声も上がった。

 「まだ抽象的なところがある。具体的な取り組みを」。同市の松浦正敬市長は、市役所を訪れた中電の清水希茂副社長に注文した。2010年にも島根原発で多数の機器の点検不備が発覚した中電。松浦市長は「また、社員に安全意識を徹底させますではなく、もっと掘り下げる必要がある」。

 報告書は、担当者が機器の発注ミスを隠そうとし、組織でチェックできなかったのが原因とした。原発が立地する鹿島自治連合会の亀城幸平会長(65)は「まず社員それぞれが自覚するしかないが、風通しのよい組織づくりの徹底を」と望む。

 中電はこの日、県と同市のほか、鳥取県と原発30キロ圏5市にも報告書を提出。鳥取県の林昭男副知事は「最も不安なのは住民。中電は(報告書の内容を)分かりやすく説明してほしい」と求めた。

 報告書提出後、島根県庁で会見した清水副社長は「再発防止策はそう短期間で(原子力規制庁や自治体が)確認できるものではない」と説明。廃炉を決めた1号機の廃止措置計画の策定などについては「地元と相談しながら進める」と述べるにとどまった。

 2号機再稼働への不安も根強い。反原発の市民団体「さよなら島根原発ネットワーク」事務局の芦原康江さん(62)=松江市=は「再発防止策は点検不備問題のときとほとんど変わらない。会社の体質に問題があるとしか考えられない状態で2号機再稼働は許されない」と訴えた。

(2015年9月12日朝刊掲載)

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