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母乳調査で不安緩和 内部被曝防止へ市民団体

 内部被曝(ひばく)防止に取り組む市民団体「繋(つな)がろう広島」は、福島第1原発事故後、広島県へ自主避難したメンバーの母乳の放射線量測定に取り組む。30日、広島大の研究者の元へ検体の母乳を届けた。「母親の不安を和らげたい」と行政などの支援を訴える。(赤江裕紀)

 事故当時、東京都と神奈川県に住んでいた計4人と、比較のため広島、福山市在住の各1人が母乳を提供。広島大大学院工学研究院の静間清教授が測定する。検出器を使い、約1日かけてセシウム137、セシウム134の含有量を測定。検出された場合、全体の内部被曝量も計算する。

 母乳提供者のうち広島市中区の女性(31)は3月、現在1歳3カ月の長男と県内に避難してきた。女性は「被曝の有無が分からない状態が一番怖い。安心して母乳をあげたい」と訴える。自費での検査も考えたが、費用を考えためらっていた。

 母乳調査は厚生労働省が4、6月に実施。福島県や茨城県の女性から微量の放射性物質を検出した。広島大は福島県や地元広島での環境放射能調査を支援しており、今回は大学として無償で引き受けた。静間教授は「結果を本人に伝え、安心してほしい」と話す。

 繋がろう広島で窓口の片山芳恵さん(32)=福山市=は「個人で検査は受けにくく、自主避難者には内部被曝検査の行政の補助もない。母親たちの緊張をほぐす結果が出れば」と願う。

(2011年10月1日朝刊掲載)

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