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地方紙記者 ヒロシマ発信 広島市が研修開催 平和MCサイトに記事掲載

 広島市は被爆70年の今夏も、全国のブロック紙や地方紙計11社から若手記者を招き、原爆被害や核兵器廃絶の取り組みを取材・報道してもらう国内ジャーナリスト研修「ヒロシマ講座」を開催した。参加した記者11人が書いたニュースや連載・特集記事を、各社の了解を得て、中国新聞社ヒロシマ平和メディアセンター(平和MC)のウェブサイトに順次掲載する。

 20、30代の各記者は、原爆資料館や、8月6日の平和記念式典、灯籠流し、平和首長会議の活動などを取材。被爆者や、記憶継承を目指す「伝承者」、研究者に加え、各紙の地元から式典に参列した遺族代表らにも話を聞いた。

 70年の節目を迎える中、悲劇の記憶を受け継ごうと努める若者らを取り上げた記事が多かった。「被爆者の声 若者に 体験聞ける最後の世代」(西日本新聞=福岡市)「母の苦しみ後世に伝える 二世の会」(神戸新聞)「核廃絶 高校生も力に」(沖縄タイムス)「平和守る決意 広島で新た 松本地方4市町の中学生」(市民タイムス=長野県松本市)などである。

 読み応えのある連載や特集も目立つ。愛媛新聞の記者は、前年この講座に参加した同僚と7回の連載を担当。24歳の時に広島で被爆し、松山市に移り住んだ女性の半生をたどり、原爆で1歳2カ月の長女を失い、胎内被爆した長男は35歳で病死するなど、被爆者の苦難を浮き彫りにした。

 新潟日報と山陽新聞(岡山市)の記者は各2回の連載を執筆。新潟日報は「体力の許す限り体験を伝えたい」86歳の被爆者と、受け継ごうとする若者の思いを掘り下げた。山陽新聞は核兵器廃絶の願いを発信しようとする被爆地の取り組みの現状や課題を追った。

 中日新聞(名古屋市)の記者は、放射線の危険性を当時の軍部がひた隠しにしようとしたことを広島の被害の実態と併せて1ページ特集で紹介。静岡新聞の記者は、伝承者や、核廃絶の署名集めを進める高校生らの動きを1ページ特集にした。

 下野新聞(宇都宮市)の記者は、式典などのニュースに加え、原爆ドームのルポや写真グラフを展開。熊本日日新聞の記者は、平和をテーマに取材・活動している中国新聞のジュニアライターを取り上げた。(宮崎智三)

広島市 国内ジャーナリスト研修「ヒロシマ講座」参加記者の記事

(2015年9月15日朝刊掲載)

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