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出前で被爆証言 活動がスタート 福山市原爆被害者友の会 学校・地域の依頼受け付け

 4月に発足した福山市原爆被害者友の会は、被爆体験を「出前」で証言する活動を始めた。学校や地域からの依頼を受け、会員の被爆者が出向いて語る。

 初の活動が9日、同市新市町の網引小であった。神原繁夫さん(87)=同市春日町=が、広島市への社会見学を控えた4年生56人に証言した。

 神原さんは70年前、広島の爆心地から約1・5キロの千田町(現中区)で被爆した。大やけどした自分や被爆した人々を描いた自作の絵約20枚をスクリーンに映し、「助けてと訴える女性がいたが、どうすることもできなかった」「川には水を求めて死んだ人が無残に浮いていた」と語った。山本雄大君(10)は「話を直接聞いて悲しい気持ちになった。戦争はやっちゃいけない」と力を込めた。

 同会は、約60年間活動した「市原爆被害者の会」の解散を受け、被爆2世の藤井悟さん(68)を会長に発足。現在、被爆者24人、2世22人の会員がいる。ただ、会員の被爆者は、高齢などのため出前の活動ができるのは神原さんたち5人という。

 藤井会長は「福山で核兵器や戦争について考え続けるため、活動してもらえる被爆者を増やしたい。市民も積極的に利用してほしい」と呼び掛ける。藤井会長Tel090(8609)4199。(小林可奈)

(2015年9月15日朝刊掲載)

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