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近畿の被爆者 証言収録 広島の追悼祈念館 来月中旬までに22人

 国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)が16日、近畿地方で暮らす被爆者の証言映像の収録を始めた。10月中旬までに22人を撮影する。

 大阪府吹田市の河井亮さん(82)は、市の施設で収録に臨んだ。学徒動員中に比治山橋の近くで被爆し、母、祖母、兄、弟を亡くした状況を涙ながらに振り返った。これまで人前で話をしてこなかったといい「形として残したかった。勝っても負けても犠牲者が出るのが戦争だと知ってほしい」と語った。同府門真市の友田典弘さん(79)は現在の袋町小(中区)で被爆した体験を自宅で語った。

 祈念館は2003年度からこれまでに、広島県外で暮らす被爆者305人の証言映像を集め、館内やホームページで公開している。

 一方、広島県内ではこの日、被爆者の体験談の執筆補助も始まった。祈念館では、松本工業学校(現瀬戸内高)2年だった吉田清さん(83)=中区=が、爆心地の南東約2キロの建物疎開作業現場での被爆体験を職員に伝えた。観音国民学校(現佐伯区の五日市観音小)6年だった佐古美智子さん(81)は中区の自宅を訪れた職員に、学校に避難してきた多くの被爆者の救護を証言した。本年度は13人が希望しているという。(下手義樹、水川恭輔)

(2015年9月17日朝刊掲載)

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