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かき船移転訴訟 国側却下求める 広島地裁で口頭弁論

 広島市中区の元安川にある船上飲食店、かき船「かなわ」の原爆ドーム近くへの移転計画で、反対する被爆者や周辺住民たち19人が移転を認めた国の河川占用許可の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が16日、広島地裁であった。国側は「原告適格がない」として訴えの却下を求めた。

 国側は答弁書で「原告は移転によって侵害される利益について法的根拠を示しておらず、原告適格はない」と主張。仮に適格が認められた場合の主張として「手続きは河川法などに基づいており違法ではない」とも指摘した。金子哲夫原告団長(67)は「原爆ドームとそのバファーゾーン(緩衝地帯)を保全する責務を国は十分に果たしていない」と意見陳述した。

 訴状によると、かなわは治水上の問題で中国地方整備局から移転を求められ、市が移転を認めた上で、昨年12月に同局が河川法に基づき占用許可を出した。原告は、移転には国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会の同意が必要で、占用許可は世界遺産条約に違反するなどと主張している。

(2015年9月17日朝刊掲載)

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