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「平和国家の信頼失う」 安保法案参院委可決 中国地方 怒りの声 有事の備え 評価も

 安全保障関連法案が参院平和安全法制特別委員会で可決された17日、中国地方では、国会審議や政府の説明が不十分だとして法案成立に反対する声が広がった一方、有事への備えとして評価する意見も上がった。

 三次市議会の議員有志たちでつくる安保法案反対三次議員連盟の国岡富郎代表(77)は、中東のホルムズ海峡での機雷除去参加をめぐる政府答弁を例に「審議が進むにつれ政府の説明が覆るなど、国民の理解が得られたとは到底思えない」と強調。特別委の採決を「国民を無視した数の力によるおごりだ」と非難した。

 「憲法違反との批判に正面からの答弁はなかった」と政府を批判したのは広島大大学院生の永井悠大さん(25)=東広島市。7月に大学周辺でデモを主催した。「安倍首相は国民の命を守るためと意義を繰り返したが、反対意見を聞かず、法案成立のために手段を選ばない姿勢は国のリーダーとしてどうなのか」と疑問を呈した。

 子育て中の母親たちでつくる「安保関連法案に反対するママの会・広島」の近松直子さん(26)=広島市西区=も「国民のための法案と言うなら審議に時間をかけるべきだ。多くの人の命が懸かっている」と憤った。2人の子の母親として「戦地に赴くのは今の子どもたち。もし法が成立しても諦めずに反対の声を上げ続ける」と話した。

 松江市の主婦西村容子さん(73)は「世界から平和国家としての信頼を失う」と懸念。福山市沼隈町の主婦小松多恵さん(41)も「将来戦争に巻き込まれると危機感を持っている」と話した。

 一方、法案成立を期待したのは元海上自衛官の煙崎伸樹さん(80)=呉市。「戦争法案との反対意見があるが、好んで戦争をする国はない。有事になってからでは遅いから仕組みを作っておくだけだ。武器使用のルールを定めれば自衛官は身を守りやすくなる」と理解を示した。「野党は揚げ足取りに終始した印象。先延ばししたら情勢がどう変わるか分からない。今、成立させるべきだ」と訴えた。

 周南市の無職藤村隆義さん(66)も「国際情勢が不安定な中、何かが起こってからでは遅い」と法案に賛成する一方、付け加えた。「ただ、法案を完全に理解している人は少ないだろう。今国会での成立は急ぎ過ぎかもしれない」

(2015年9月18日朝刊掲載)

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