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光海軍工廠建設の秘史 資料収集「計画決定36年」 郷土史研究家の秋本さん出版

 山口県光市虹ケ丘の郷土史研究家秋本元之さん(79)が、光海軍工廠(こうしょう)の建設に関する歴史や資料を独自にまとめた冊子「光海軍工廠秘史~建設第一期・開庁以前~」を自費出版した。

 秋本さんは旧海軍の予算書などを基に、計画立案から1940年3月の開庁までを全86ページにまとめた。この中で、従来は37年とされた建設計画の決定が、1年早い36年だったことを突き止めた。建設の背景や予算、兵器の年生産目標などを詳細に記している。

 秋本さんは浅江小の元校長。防衛省防衛研究所(東京)を訪れ、戦病死した父が勤めていたインドネシア・ボルネオ島の旧海軍燃料廠について調べていた2010年、光工廠に関する旧海軍資料を見つけ、研究を始めた。

 以降、防衛研究所や国立国会図書館(同)に19回足を運んで資料を調査。米国の接収物などを調べるため、13年に米国へ渡った。その際、米国立公文書館で米軍機が撮影した工廠全景の航空写真を接写。冊子にも載せた。

 「空襲の犠牲者を追悼し、光工廠の歴史や実態を明らかにしたかった」と秋本さん。100冊印刷し、市や図書館、希望者に寄贈する。現在は、41年から終戦前日の45年8月14日にかけて空襲を受け、閉庁するまでの続編を編集している。秋本さんTel0833(72)3613。(高田果歩)

(2015年9月18日朝刊掲載)

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