×

ニュース

放射性物質 広島在住者の母乳 検出 広島大「授乳に問題なし」

 内部被曝(ひばく)防止に取り組む市民団体「繋(つな)がろう広島」は11日、広島県内在住の母親2人の母乳から微量の放射性物質が検出されたと発表した。東日本大震災後に東京から避難した1人と以前から県内に住む1人。測定に協力した広島大は「授乳には問題ない値」としている。

 検査は10月上旬、震災後に関東地方から広島県内に避難してきた4人と、震災前から同県内に住む2人の計6人を対象に実施。それぞれ100ccの母乳を採り、同大大学院工学研究院の静間清教授が検出器で調べた。

 その結果、いずれも30代の2人から微量の放射性セシウムを検出した。厚生労働省は、牛乳・乳製品の放射性セシウムの暫定規制値(1キログラム当たり200ベクレル)を母乳の指標とする。同団体は2人の意向で具体的数値を明らかにしていないが、厚労省の指標は大幅に下回っているという。

 静間教授は「以前から県内に住む1人は食材からの摂取の可能性がある」とみて継続検査する。同大原爆放射線医科学研究所の神谷研二所長は「健康に影響はない程度。心配だろうが、母乳を与えても問題ない」と話す。

 同団体の三田拓代表は「行政には母乳や尿の検査態勢を整え、食品の放射線量の測定場所を設けるよう求めていく」としている。

 母乳中の放射性物質については厚労省の4月の調査で、福島県の1人から放射性ヨウ素1キログラム当たり3・5ベクレル、放射性セシウム同2・4ベクレルを検出。茨城、千葉県の計6人から放射性セシウムを同8・0~2・2ベクレル検出した。(赤江裕紀)

(2011年10月12日朝刊掲載)

年別アーカイブ