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灯籠223個「命大切に」 被爆死の同級生思いタペストリー 松江の西尾さん 津田小児童に呼び掛け

 広島県立広島第一高等女学校(現皆実高)の同級生223人を原爆で亡くした松江市比津が丘の主婦西尾幸子さん(83)が、被爆70年に合わせてタペストリーを制作した。作品を手に18日、同市東津田町の津田小で児童に「生きたくても生きられなかった子どもがいる。命を大切にしてほしい」と呼び掛けた。

 1945年7月、1年生の西尾さんは、広島市中区平野町から安来市伯太町の母親の実家に疎開。8月6日、爆心地から約700メートルの小網町付近で建物疎開作業中だった同級生223人は、全員が帰らぬ人となった。

 同級生の無念を伝えようと、被爆50年の95年に初めて約1メートル四方のタペストリーを手縫いで作った。5枚目となる今回は、原爆ドーム前のとうろう流しを描き、223個の灯籠を和紙で飾った。「命のあるかぎりあの日の悲劇を伝えます」と文字を添えた。

 この日、10月に広島への修学旅行を控える6年生約100人に、戦後発足した広島東洋カープも平和を願っていると説明。カープの帽子をかぶって作品を紹介しながら「戦争中に生まれ、原爆で亡くなった友人はあまりにもかわいそうで忘れられない」と話した。

 森脇亜泉(あみ)さん(11)は「灯籠の数から、どれだけ多くの友だちが亡くなったかわかる。戦争がない世の中にしたい」とタペストリーに見入った。西尾さんは「話を聞くだけでなく、作品を通じて子どもたちの心に核兵器の恐ろしさが伝わってほしい」と願っていた。(西村萌)

(2015年9月19日朝刊掲載)

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