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米核戦略に被爆国利用 「平和」宣伝の思惑を分析

広島平和研教授ら新刊

 広島市立大広島平和研究所の田中利幸教授と米アメリカン大のピーター・カズニック准教授が「原発とヒロシマ 『原子力平和利用』の真相」(写真・岩波ブックレット)を刊行した。米国の原子力推進政策に被爆国が利用された側面を歴史資料をもとに解説している。

 カズニック准教授は米国が核軍拡戦略の一環として「平和利用」の考えを打ち出し、日米の国民を納得させたと指摘。田中教授は1950年代、米国で浮上した広島への原発建設計画や広島で開かれた「原子力平和利用博覧会」に、被爆者たちが条件付きで賛同した経緯を紹介。「核の危険性を知るヒロシマが米国の宣伝工作のターゲットにされた」と分析する。

 田中教授は「福島第1原発事故による大惨事を踏まえ、歴史を批判的に見つめ、議論し直す必要がある」と訴えている。A5判、61ページ。525円。(森田裕美)

(2011年10月14日朝刊掲載)

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