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「原発の中止」議案 否決 山口県市議長会 賛成は周南だけ

 山口県市議会議長会は14日、下松市で臨時総会を開き、周南市議会が提出した「原発の新設、増設計画の中止・凍結を国に求める」議案を否決した。県内では5月以降、13市議会中11市議会が原発に関する意見書を可決しているが、周南市議会をのぞく12市議会は「中止」を含む表現に反発、いずれも反対に回った。

 臨時総会で周南市議会の米沢痴達議長が「原子力政策は安心安全に向けて喫緊の課題」などと提案の理由を説明。現状では原発の安全性確保は困難として、同県上関町への原発建設計画を含む原発の新増設の中止・凍結▽新エネルギービジョンの策定―などを市議長会として国に求めようとした。

 しかし、臨時総会では他市議会が強く反発。柳井、宇部両市議会が反対討論し、原発計画の「いったん凍結」を求める意見書を可決した柳井市議会の中次俊郎議長は「柳井の意思は『中止』ではない。議長会として国に出すには大半の議会の理解を得るべきだ」と主張した。

 全会一致が慣例の議長会では異例の採決となり、賛成は提案者の周南市議会の議長、副議長だけだった。

 福島第1原発事故を受け、県内の各市議会は相次いで原発に関する意見書を可決しているが、上関原発計画の「中止」を求めたのは周南市議会だけ。他市議会は「凍結」「慎重な対応」などの表現にとどめている。

 周南市議会の米沢議長は「他の市議会の理解を得たいと思い『凍結』の表現を加えたが、各市の事情が採決の結果に表れたと思う。残念だ」と述べた。(岩崎秀史)

(2011年10月15日朝刊掲載)

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