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原発関連船 転身の船出 山口県上関 エコツアー用に

工事中断 環境団体が購入

 中国電力の上関原発(山口県上関町)建設計画で海面埋め立て工事に使われる予定だった船が、予定地周辺の希少生物を観察するエコツアー用の船として再出発することになった。福島第1原発事故を受けた工事中断で使い道が宙に浮いた船を原発計画反対の環境保護団体「長島の自然を守る会」が購入し、18日、お披露目した。

 14・81トン、14人乗りの船は全長11・9メートル。山口県内の業者が工事現場に関係者を運ぶため所有していたが、中電は福島原発事故後の3月15日から工事を中断。再開のめどが立たないため業者が神奈川県内のダイビングショップ経営者に売却した。経営者と交流があり、ツアー船を探していた守る会が約140万円で購入した。

 中電が埋め立て予定の田ノ浦湾周辺には、国の天然記念物カンムリウミスズメやスナメリなどが生息。守る会や生物学者たちが「生物多様性のホットスポット」と訴え、工事や原発の温排水が生態系に影響を与えるとして原発計画撤回を中電などに求めてきた。

 守る会は船を専門家が解説する生物観察会や海藻採りなどのツアーに生かす。高島美登里代表は「奇跡的に残る貴重な自然を一人でも多くの人に伝えたい。ツアーが原発に頼らない町づくりの第一歩になれば」と話している。

 守る会は11月13日、船の披露を兼ねたツアーをする。船の補修費などに充てる寄付金も募っている。高島さんTel090(8995)8799。(久保田剛)

(2011年10月19日朝刊掲載)

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