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G8議長サミットにむけ 広島で「平和と軍縮」シンポ

■記者 吉原圭介

 「平和と軍縮シンポジウム―被爆地広島から『核のない社会』への提言」が31日、広島市中区のホテルであった。2日の主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)を前に、パネリストは国民の代表である国会議員の指導力や核保有国の議長たちが被爆地に集う意義などについて意見を交わした。

 国際軍縮促進議員連盟(会長・河野洋平衆院議長)と同シンポ実行委(碓井静照委員長)が主催した。石栗勉京都外国語大教授をコーディネーターに、坪井直広島県被団協理事長、スティーブン・リーパー広島平和文化センター理事長、ナスリーン・アジミ国連訓練調査研究所(ユニタール)広島事務所長の三人が登壇。約250人が聞き入った。

 「核のない社会」実現へ、リーパー理事長は2010年に開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて「核兵器を使うのか、なくすのかの重要な岐路にいる」と強調。平和市長会議が20年までに核兵器を廃絶するという期限目標を掲げた2020ビジョンやその道筋を示すヒロシマ・ナガサキ議定書の意義を紹介した。

 アジミ所長は軍事産業をなくすことと、核兵器が力を持つという幻想を断ち切ることが重要との認識を示したほか、「(国民の代表である)国会議員にはもっと平和のために強力な動きをしてほしい」と注文した。

 被爆地広島の役割については、坪井理事長が自らの被爆やその後の闘病体験を語り「いろんな手段を使って核被害の情報を発信するべきだ。被爆者の証言は非常に大事」と訴えた。

 前国連アジア太平洋平和軍縮センター所長でもある石栗教授は「核軍縮とは核保有国を追い込むこと。民間レベルで国連軍縮特別総会のようなものを開いたり、米ロのリーダーに広島を知ってもらったりする取り組みがほしい」と提言した。

 またパネリストからは主要国議長が被爆地入りし、原爆資料館などを訪れることの意義深さを指摘する声が相次いだ。シンポの概要はG8議長サミットのホストを務める河野衆院議長に伝える。

(2008年9月1日朝刊掲載)

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