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死亡リスク「差はなし」 放影研の被爆2世疫学調査

 放射線影響研究所(広島市南区、放影研)は5日、記者会見し、親の被爆と、被爆2世の死亡との関連について追跡している疫学調査の結果を明らかにした。対象の2009年末までの病死者では「がん」「がん以外の疾患」のいずれの死亡リスクも非被爆者の子どもと「有意な差は見られなかった」とした。被爆2世がまだ若いため調査を続ける。

 放影研は1946年から84年までに広島市か長崎市で生まれた被爆2世と、非被爆者の子ども計7万5327人を追跡調査している。今回は、09年末までに病死した5183人の死因を「がん」と「がん以外の疾患」に分けて解析。親が被爆していない場合の死亡リスクを「1」とし、被爆した場合と比べた。

 その結果、母または父が被爆した人の「がん」による死亡リスクは、0・5~1・36。ほぼ1を中心とした数値幅のため、親が非被爆者の場合と「有意差はない」とした。「がん以外」も、同様の傾向だった。被曝(ひばく)線量別や20歳以前、以後で比べてもリスク増加を判断できる数値は出なかったという。

 前回の1999年末までのとりまとめも、同様の結果だった。記者会見で、疫学部のエリック・グラント副部長は「被爆2世は若く、影響がないとはまだいえない。今後は疫学で見られない影響がないかどうか、分子生物学調査も必要だ」と述べた。(水川恭輔)

(2015年10月6日朝刊掲載)

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