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遺志継承 韓国で授業 英語で被爆証言 故松島圭次郎さんの長男浩司さん

 英語での被爆証言に力を尽くした故松島圭次郎さんの長男で、英語教諭の浩司さん(49)=府中町=が6日、韓国の高校で平和をテーマに特別授業をする。「戦争の愚かさを知り、より良い未来の在り方を考えてもらう機会になれば」。父親の分まで、平和を希求する被爆地の姿を伝える。

 勤め先の賀茂高(東広島市)の姉妹校であるミチュホル外国語高(仁川市)との交流事業の一環。日本語を学ぶ生徒約70人に対し、韓国人被爆者の存在に触れ、原爆慰霊碑の碑文の意味や両国の関係改善策を探る内容を予定している。

 中学の英語教諭だった圭次郎さんは退職後、精力的に証言活動をしたが、浩司さんは「頑張るなあ、くらいにしか思っていなかった」と明かす。しかし昨年11月に85歳で亡くなると、国内外から惜しむ声が寄せられ、影響力に気付いた。

 被爆学徒の姿に「君らの叫びと祈りは世界に伝える」と書き添えた圭次郎さんの絵も見返し「息子として、英語教諭として、できる事をしないと」と考えるようになったという。「父や被爆者たちの思いを、日本の教育現場でも次代にどう伝えるか模索を続けたい」と話している。(田中美千子)

(2015年10月6日朝刊掲載)

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