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原爆展 開催地ごとに工夫 広島の資料館 関わりを独自に調査

 原爆資料館(広島市中区)が全国で開いている原爆展で、開催地に関わる解説や資料展示を増やす工夫をしている。15~22日の松山市の会場では、同市内からきのこ雲を見た記憶が描かれた同館所蔵の「原爆の絵」や、ゆかりの原爆童話を紹介する。各地で原爆の被害をより一層、わが身に引きつけて考えてもらう狙いだ。

 資料館は1996年度に全国の自治体と共催の原爆展を始め、これまで40都道府県の56都市で開催。原則同じ展示を巡回させてきたが、一昨年度から開催地と広島の関連を積極的に調べて独自資料を加え始めたという。

 松山市では、70年前に地元の児童だった2人が海の向こうに見たきのこ雲を描いた絵を特製パネルで伝える。「地上の何もかもが吸い上げられるようでした」などと2人の思いも書き添えている。

 また、原爆童話の代表作「おこりじぞう」のモデルの被爆地蔵が市内の龍仙院に残ることも解説。住職の家族を通じて広島市から移された経緯や原爆の日に営まれる供養祭を紹介する。

 松山市は本年度5都市目。7月は新潟県の上越市と新発田市で、新潟市が米軍の原爆投下目標の一つに挙がっていた史実を伝えた。同月に秋田市では、秋田弁による被爆証言ビデオを上映した。

 啓発課の土肥幸美学芸員は「新潟では『投下目標だったと知り、ぞっとした』との感想もあった。特色ある展示で、訴求力を高めたい」と話している。(水川恭輔)

(2015年10月10日朝刊掲載)

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