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被曝医療 欧に訪問団 HICARE IAEAと協議へ

 広島県や広島市などでつくる放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE)は、31日から6日間の日程で欧州に訪問団を派遣する。昨年8月に被曝者医療分野で協力する覚書を交わした国際原子力機関(IAEA)の本部(オーストリア・ウィーン)を訪ね、連携の具体化に向けた協議を進める。

 訪問団は、土肥博雄会長(広島赤十字・原爆病院長)や児玉和紀幹事(放射線影響研究所主席研究員)、田代聡幹事(広島大原爆放射線医科学研究所教授)、佐々木昌弘幹事(県健康福祉局長)たち計6人で構成する。

 調印後にHICARE側がIAEA本部を訪れるのは初めて。11月1、2日、モハマド・ダウド事務局次長たちと覚書を踏まえた連携事業について協議する。

 具体的には、HICAREが取り組む海外からの研修医受け入れ事業でのIAEA推薦枠の新設や、県内で被曝者医療を学ぶ学生のインターンシップ派遣など。共同研究に向け、テーマや実施方法なども検討する。

 訪問団のうち土肥会長と佐々木幹事の2人は3日、スイス・ジュネーブの世界保健機関(WHO)と国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)を訪問する。現地でHICAREの活動内容を紹介するセミナーを開くなどして今後の連携の可能性を探る。(村田拓也)

放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICARE)
 旧ソ連(現ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故を機に1991年4月、設立された。被爆者医療の蓄積を世界の核被害者支援に生かすことを目的に、海外からの研修医受け入れや専門家の派遣などを展開する。広島県や広島市、県医師会、市医師会、広島大原爆放射線医科学研究所、放射線影響研究所などの医療・研究機関で構成。事務局は県庁に置く。

(2011年10月29日朝刊掲載)

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