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広島で探る 福島のあす 平和学会 対策や原発議論

 被爆地広島が福島第1原発事故にどう向き合うべきかをテーマにした集会「フクシマは今―ヒロシマで問う」が30日、広島市安佐南区の広島修道大であった。日本平和学会が秋季研究集会の最終日に分科会として開き、約60人が参加した。

 同原発から約45キロの福島県飯舘村で酪農業を営んでいた長谷川健一さん(58)は「事故直後に放射線量の情報が隠され、村民はみんな怒った」と政府の対応を批判。飼育していた乳牛約50頭は殺処分になり「たまらない思いだった」と述べた。

 広島の蓄積を福島でどう生かすかも議論。市民団体チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西(大阪市)の振津かつみ医師(52)は「被爆者健康手帳のような手帳をつくり、国の責任で健康管理するべきだ」と主張。長谷川さんは「被爆者が体験した差別や偏見が起きないような社会づくりが必要」と訴えた。

 今後の原発との向き合い方について、NHK放送文化研究所の七沢潔主任研究員(54)は「今は分岐点。変わるためにヒロシマの力も大きい」と語った。

 秋季研究集会は29、30の両日開かれ、中東の民主化運動を考える集会などもあった。(河野揚)

(2011年10月31日朝刊掲載)

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