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連載・特集

レンズはとらえた戦後70年 自衛隊の海外派遣 1991~93 

「派兵の道」 反対の声も

 1991年4月26日、海上自衛隊の「ペルシャ湾掃海派遣部隊」が日本の3基地を出港した。湾岸戦争の戦後貢献策として政府が決定した自衛隊の初めての海外派遣。呉基地では、派遣部隊の司令部になる掃海母艦はやせと掃海艇ゆりしまが、家族たち約600人に見送られ、同湾へ向かった。

 機雷除去が任務だったものの、市民団体や被爆者たちから「自衛隊の海外派兵の道を開くな」と、反対の声が上がった。約1万3千キロ離れた地での作業。停戦後で戦闘地域ではないとの条件だったが、隊員の家族は不安をにじませ、ひたすら無事を祈った。

 92年9月には、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき、国際平和協力隊がカンボジアへ派遣された。呉基地からは補給艦とわだが部隊に加わった。2年続いた自衛隊の海外派遣。派遣基地としての恒久化につながるのではないか、との懸念が市民に広がった。

 ことし9月、安全保障関連法が成立。審議の過程では集団的自衛権行使の具体例として、ペルシャ湾・ホルムズ海峡での機雷除去が挙げられたこともあった。(村上昭徳)

(2015年10月14日セレクト掲載)

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