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「ヒロシマ・ピョンヤン」東区の河さん作曲・演奏 英国映画祭で栄冠

「在朝被爆者 知る契機に」 

 北朝鮮の被爆者を追ったドキュメンタリー映画「ヒロシマ・ピョンヤン 棄(す)てられた被爆者」が、10月の英国の映画祭で最優秀サウンドトラック賞に輝いた。作曲、演奏したのは広島市東区の在日朝鮮人シンガー・ソングライター河弘哲(ハホンチョル)さん(32)。「在朝被爆者に関心を持ってもらうきっかけに」と喜ぶ。(金崎由美)

 フォトジャーナリストの伊藤孝司監督(59)が、広島で被爆し、1960年に帰国事業で北朝鮮へ渡った李桂先(リゲソン)さんを取材した90分作品。病に苦しみながら広島に残った母を思う女性の姿を、河さんの奏でるピアノ曲が繊細に包む。広島では昨年4月、上映会が開かれた。

 河さんは、広島朝鮮歌舞団(南区)の団長を務める。知人を通し、伊藤監督から作曲を依頼された。

 それまで被爆者の話を聞く機会があまりなかった河さん。李さんの思いにできるだけ近づこうと編集前の映像を繰り返し見た。伊藤監督は「被爆者の心情を深く理解し、曲作りをしてくれた」と評価する。

 受賞した映画祭は、英国南東部ケントで毎年開かれている「国際映画制作者フェスティバル」。河さんは「在日としての活動が認められ、被爆者や同胞が喜んでくれたのが何よりだ」と喜びをかみしめる。

 河さんは福島第1原発事故の影響に揺れる福島県相馬市の出身。「放射線被害に苦しむ広島と福島で励みにしてもらえるよう音楽活動の幅をさらに広げたい」と誓う。

(2011年11月2日朝刊掲載)

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