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通信使行列 友好の彩り 呉・下蒲刈で250人再現

 江戸時代に朝鮮半島の外交使節団が立ち寄った呉市の下蒲刈島(下蒲刈町)で18日、当時の様子を伝える朝鮮通信使再現行列があった。ことしは日韓国交正常化50年。韓国の観光客と住民が両国の関係強化と友好を誓い合う場面もあった。

 行列には約250人が参加。それぞれ鮮やかな民族衣装に身を包み、旗手や軍官、楽人といった役割を演じた。松並木が続き、一部石畳を敷いた海沿いの県道約1・2キロを練り歩いた。

 終点の下蒲刈中では、通信使正使役を務めた韓国・昌原(チャンウォン)市の第1副市長朴在賢(パク・ジェヒョン)氏と幕府の将軍に扮(ふん)した呉市の木坂修副市長が、当時の外交文書「国書」交換も再現してみせた。

 通信使は計12回日本を訪れ、同島に11回寄港した。両国の自治体などが共同で通信使関連資料の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産登録を目指しており、関連資料を展示する町内の松濤園御馳走(しょうとうえんごちそう)一番館も見学者でにぎわった。

 再現行列は蘭島文化振興財団、呉市、朝鮮通信使行列保存会、中国新聞社の主催。(小笠原芳)

民間交流で日韓の絆 下蒲刈で朝鮮通信使行列 民族楽器演奏や島内散策 呉

 呉市の下蒲刈島(下蒲刈町)で18日にあった朝鮮通信使再現行列には、韓国の高校生や市民が多数参加した。日韓国交正常化50周年の節目の年を意識。音楽演奏や島内の散策を楽しみ、住民との交流も深めた。(今井裕希、小笠原芳)

 韓国・富川(プチョン)市の京畿(キョンギ)国際通商高の生徒16人が民族楽器を携え、行列に加わった。黄色い衣装で統一。太鼓やラッパ、ホラガイ、打楽器で韓国の音楽を演奏して盛り上げた。

 終着点の下蒲刈中グラウンドでは、マーチにした「アリラン」などを披露、観客から大きな拍手をもらった。3年梁誠倫(ヤン・ソンリュン)さん(18)は「きょうのような民間交流を広げていけば、国同士の関係も良くなるのでは」と未来を見据えていた。

 17日に呉市で開かれた医学交流会議に出席したソウル、釜山の医師たち9人も島を訪れた。行列見学のほか、松濤園御馳走(しょうとうえんごちそう)一番館にも立ち寄り、日本に来た通信使の一団が描かれた絵巻物「朝鮮人来朝覚(おぼえ)備前御馳走船行烈(ぎょうれつ)図」を見学した。両国の自治体や団体が通信使関連資料を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産に登録しようとしており、そうした流れを踏まえて呉市がことし市重要文化財に指定した。

 釜山の仁済(インジェ)大海雲台白(ヘウンデペク)病院の文英守(ムン・ヨンス)内科主任教授(54)は両国の交流の歴史を再確認した上で「通信使行列のような行事が13回も続けられていることはうれしい」と話していた。

(2015年10月19日朝刊掲載)

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