×

ニュース

戦後70年で慰霊しめやか 世羅出身者らの旧満州開拓団 途絶えた式典「二世」が復活 広島

 世羅町出身者たちが中心になって旧満州(中国東北部)に入植した上金馬開拓団の慰霊祭が23日、同町西上原の甲山農村環境改善センターであった。慰霊祭は2012年を最後に途絶えていたが、戦後70年のことし、入植者の子どもたちが「二世の会」を発足させて開いた。

 町内や尾道、三原市などの遺族たち16人が参列。旧満州で家族と暮らした二世の会の大工谷博旦会長(79)=尾道市栗原東=は「引き揚げる際に多くの人が栄養失調や病魔に倒れ、悲惨さは言葉にできない。苦難を乗り越え育ててくれた先人への感謝は忘れない」と追悼文を読んだ。参列者が次々と焼香をした。

 慰霊祭の後、町内の全3中学校の1、2年生276人を招いた平和講演会もあった。

 同開拓団は1940~45年、家族を含め約750人が旧満州に渡った。戦災や病気で約200人が亡くなり、帰国できなかった。慰霊祭は66年から毎年、06年からは隔年で開き、遺族の高齢化で12年が最後となっていた。

 引き揚げ中に3人の弟を亡くした世羅町安田の大霜高志さん(75)は「継承していくために今後も開きたい」と話していた。(与倉康広)

(2015年10月24日朝刊掲載)

年別アーカイブ