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G8議長サミット 被爆地で花ささげ手つなぐ

 主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)に先立ち、世界をリードする立法府のリーダーたちが2日朝、広島市中区の平和記念公園を訪れた。原爆を投下した米国のペロシ下院議長をはじめ、核保有国の議長らも原爆慰霊碑に花束を手向け、犠牲者に哀悼の意を示した。

 サミット参加の9人は午前8時半、平和記念公園に到着。この日に向けて練習してきた135人の市民合唱団の歌声が響き、小学生約600人が旗を振る中、秋葉忠利広島市長の先導で慰霊碑へとゆっくりと進んだ。

 議長らは一人ずつ花束を手にして慰霊碑前に歩んだ。秋葉市長は慰霊碑の碑文の意味や、被爆前の中島地区の様子などについて説明。それを聞いていた議長らは、誰からともなく手をつないで慰霊碑に向き合った。

 原爆資料館近くでは市内の小中学生18人が、自らの学校で考えた平和へのメッセージと千羽鶴を9人に手渡した。ペロシ下院議長は「千羽鶴は米国で飾るから、見に来て」と声をかけた。

 一行は、続いて原爆資料館を視察。被爆者の元館長高橋昭博さん(77)=広島市西区=が自ら寄贈した変形した黒いつめの前で体験を語った。「原爆を心の底から憎むが、憎しみは乗り越えなくては。核兵器は絶対悪。核超大国の米ロが廃絶への強い意志を示してほしい」。高橋さんの言葉を、議長らはうなずいて聞き入った。

 原爆投下国の「ナンバー3」にあたる米下院議長を含む各国議長に被爆地の思いを直接、訴えた高橋さんは「被爆者の訴えをどこまで受け止めてもらえたか、聞いてみたい」と感想を話していた。

(2008年9月2日夕刊掲載)

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