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外交舞台 ヒロシマ発信 2首長 手探りのデビュー 松井市長/湯崎知事

松井市長 活動費負担を訴え
湯崎知事 海外メディアなし

 広島市の松井一実市長と広島県の湯崎英彦知事は、それぞれ外遊先の欧州と米国で核兵器廃絶を訴える活動に力を注いでいる。被爆地の両トップにとって「平和外交」の海外デビューは、手応えと課題が交錯する旅路となっている。(グラノラーズ、ワシントン=田中美千子、加納亜弥)

 スペイン東部のグラノラーズ市で9日、平和市長会議の理事会が開幕した。会長を務める松井市長は冒頭、「核兵器廃絶の機運は陰りすらみられる」と危機感を表明。役員都市の市長たちにさらなる連帯の重要性を訴えた。

 被爆地広島、長崎の知名度を背景に、5千を超える加盟都市を得た会議。より具体的な活動を行う組織へ発展させるため、松井市長は今回、運営費の負担問題を加盟都市に投げ掛ける。

 これまで費用負担を求めない前提で世界中から「同志」を募ってきただけに、10日まで続く理事会の議論がどう集約するか不透明でもある。だが松井市長は「何事かをなすには人、物、金の3要素が不可欠。平和市長会議には、お金が全く足りない」と力説した。

 一方、湯崎知事は8日(日本時間9日)、米ワシントンでアフガニスタンの駐米大使や米下院議員の首席補佐官たちと会談。県の「国際平和拠点ひろしま構想」について「世界中から人材や知識、資金を結集し核廃絶へのロードマップ作りを進めたい」と力説した。

 各国のメディアが集まる「ナショナルプレス・クラブ」での記者会見は絶好のPRの機会となるはずだったが、海外メディアの出席はなかった。「米メディアに発信したかったが、核兵器廃絶への関心が低い現実を受け止めなければならない」と残念がった。

 9日(同10日)はニューヨークの国連本部で潘基文(バンキムン)事務総長に構想への協力を要請する。

(2011年11月10日朝刊掲載)

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