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「低空」中止 米に直接要請 小学校騒音被害で浜田市

 県西部で相次ぐ米軍機の低空飛行訓練を受け、浜田市は米海兵隊岩国基地(岩国市)と駐日米大使館に対し、訓練の中止を要請した。9月下旬に同市佐野町の佐野小であった騒音被害を問題視した。県西部の市町による米国への単独要請は異例となる。(石川昌義、浜岡学、黒田健太郎)

 要請書は2日付で、米海兵隊岩国基地のジェームス・スチュワート司令官とジョン・ルース駐日米大使に宛てた。市は、県を通じて岩国基地に照会した結果、訓練を認めたため、直接の中止要請に踏み切った。玄葉光一郎外相と一川保夫防衛相には、訓練の中止を米国に働き掛けるよう求めた。

 市によると、佐野小の騒音被害は9月29日午後0時20分ごろ発生。ごう音を恐れて床に伏した児童もいた。同時刻ごろ、金城町や弥栄町の住民から、騒音の影響で会話が聞き取りにくくなったとの苦情も寄せられた。

 市は、学校施設周辺への影響を最小限にし、考慮を払うとした日米合同委員会の合意を重視。要請書では「到底容認できるものではなく極めて遺憾」と主張した。

 2010年1月~11年6月に県が集計した米軍機の低空飛行とみられる目撃と騒音苦情の数は266件。県西部に集中し、浜田市65件▽江津市、邑南町64件▽益田市54件―などとなっている。

 県西部の市町は通常、県を通じて外務省、防衛省などに米国への働き掛けを要請している。米海兵隊岩国基地に対しては、邑南町が06年1月、低空飛行訓練の日程開示と週末、祝日の訓練自粛を要請している。

 浜田市安全安心推進課の前木俊昭課長は「訓練中止を繰り返し求めているが、なくならない。中止を訴える強い意志を示す必要がある」としている。

(2011年11月10日朝刊掲載)

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