×

ニュース

原爆ドーム破片を公開 広島大 近く設計者母国チェコへ

 広島大は、広島市中区の原爆ドーム(旧県物産陳列館)の一部とみられる破片4点を、同館を設計した建築家ヤン・レツルの母国チェコに近く発送する。27日、南区の同大霞キャンパスで破片を公開した。

 同大によると、花こう岩でできたひさしの飾り部分とコンクリートの窓枠支柱、れんがの壁面2点。いずれもドームそばを流れる元安川から同大研究員の嘉陽礼文さん(37)たちが発見し、引き上げた。原爆養護ホーム舟入むつみ園(中区)で破片を披露した際に被爆者が書いた平和を祈る色紙も同封し、30日に発送する。

 嘉陽さんは「レツルの本意ではなかっただろうが、結果的に被爆の実相を今に伝える建物になった。破片を贈ることで母国に感謝の気持ちを伝えたい」。越智光夫学長は「原爆の記憶を風化させないよう、チェコからも世界に発信してほしい」と話していた。

 チェコのヤン・ハマーチェク下院議長が8月に同大を訪れ、越智学長が贈呈の目録を手渡していた。破片は同国の議会棟などに飾られるという。(新谷枝里子)

(2015年10月28日朝刊掲載)

年別アーカイブ