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平和市長会議 財政強化へ新委員会 理事会 声明文を採択し閉幕

 スペイン東部のグラノラーズ市で開かれていた平和市長会議の理事会は10日、加盟都市による運営費負担を軸にした財政基盤の強化策を検討する委員会の設置などを盛り込んだ声明文を採択し、閉幕した。

 9日に始まった理事会は加盟都市数が5千を超える中、広島、長崎以外の加盟都市に財政負担を求めるかどうかが焦点だった。会長を務める広島市の松井一実市長は「市長会議は量から質を目指す時だ。新規加盟を妨げない範囲で各都市がコストを負担する考えが必要」と訴えた。

 出席者からも「大きな組織になったが財政は確かに弱い」「財政強化は優先すべき検討課題だ」との意見が続き、委員会の設置で一致した。

 松井市長が提案した地域ごとに支部的組織を設ける案も賛同を得た。新たに設ける委員会で今後、財政強化策や地域組織の役割などを議論し、2013年に広島市で開く総会に具体案を提示する方針を決めた。

 採択した声明文には、各国軍縮大使や国連関係者を広島総会に招聘(しょうへい)▽20年に核兵器廃絶を目指すキャンペーンの大使に著名人やオピニオンリーダーを任命―などを盛り込んだ。

 理事会はまた、核兵器廃絶へ加盟都市のさらなる連帯をうたう決議文を採択した。核の脅威を再認識させた福島第1原発事故に触れ、「安全なエネルギーに支えられた社会を築かなければいけない」と明記した。(グラノラーズ〈スペイン〉田中美千子)


声明文の骨子

▼財政基盤強化に向け近く委員会を設置。資金調達の具体案をまとめる
▼2013年8月に広島で開く平和市長会議の総会に各国軍縮大使や国連関係者などを招聘
▼加盟5千都市達成を記念し、全加盟都市で原爆展などの開催
▼2020ビジョンキャンペーンを支持する有名人やオピニオンリーダーを大使に任命
▼12年と13年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備会合に平和市長会議から市長団を派遣
▼国連などとの関係強化
▼核兵器禁止条約の交渉開始の訴えを強化
▼12年のNPT再検討会議準備会合で原爆展開催

(2011年11月11日朝刊掲載)

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