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中電が3年連続黒字 15年9月中間 燃料価格下落 純利益208億円

 中国電力が30日発表した2015年9月中間決算は連結の純利益が208億4500万円となり、3年連続で黒字を確保した。島根原発(松江市)は停止したままだが、原油をはじめ燃料価格の下落が利益を下支えした。未定としていた通期の純利益も、2年連続で黒字を見込む。(境信重)

 中間期の純利益は3年ぶりの減益で、前年同期を25・3%下回った。石炭火力の三隅発電所1号機(浜田市)が定期点検のため3~7月に停止。割安な石炭の発電が減った分を石油や液化天然ガス(LNG)に置き換えたコストに加え、修繕費もかさんだ。中電全体の原料費は燃料価格の低下で295億円減った。

 売上高は6207億4300万円と2・9%減り、6年ぶりの減収。節電意識の定着などによる夏場の冷房の需要減に加え、鉄鋼など産業用の大口需要も減り、4~9月の電力販売量は1・4%減少した。未定としていた中間配当は前年実績の25円を据え置いた。

 通期は、古い設備の修繕や、電力小売り全面自由化に向けたシステム開発の費用が膨らむとみて、純利益は110億円と減益を見込む。原油安が続く中、燃料費調整制度による電気料金収入の減少で売上高は1兆2460億円と減収を予想。期末配当は未定とした。

中電料金の割引対象拡大へ 社長会見 グループ再編も検討 3年連続で黒字

 中国電力の苅田知英社長は30日、広島市中区の本社で発表した中間決算の記者会見で、来年4月の電力小売り全面自由化に向け「競争に打ち勝つようにいろいろな料金メニューを考える」と述べ、従来より電気料金の割引対象を広げる方針を明らかにした。競争力の強化に向け、さらなる人件費削減やグループ企業の再編を検討する考えも示した。

 現在はオール電化住宅限定の割引をオール電化以外にも広げる。電気使用量の通知を紙からインターネットに切り替えた人も値下げする。地場スーパーや通信会社とポイントサービスでの連携も検討している。苅田社長は「当社ならではの付加価値を提供し、お客さまの期待に応えたい」と力を込めた。

 首都圏進出には、あらためて意欲を見せた。東京電力の入札を落札できず、千葉市に建設予定の火力発電所の売電先が決まっていないが「関東はいろんなアライアンス(提携)を組んで販売する余地は十分ある」と述べた。

 さらなる経営効率化も進める考えだ。今期の連結純損益の黒字見通しは「燃料動向の外部的要因が大きい。本質的な財務体質の改善は程遠い」と説明。今後は働き方の改善で「人件費を相当圧縮していく」。グループ企業の再編についても「そういう可能性は常に考える」と語った。

 島根原発(松江市)の低レベル放射性廃棄物の処理をめぐる虚偽記録問題については「地域に非常に不安を与えた」と陳謝。地元住民が求めている住民説明会の開催は「今は考えていない」とした。この問題で1号機の廃止措置計画の申請が遅れており「なるべく早く申請できるよう努力したい」と説明した。(河野揚)

(2015年10月31日朝刊掲載)

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