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安全対策費が倍増4000億円 島根原発で中電 新基準で追加工事

 中国電力は30日、島根原発(松江市)を稼働させるための安全対策費が約4千億円と、従来のほぼ2倍に膨らむ見通しを明らかにした。新たな規制基準に基づく審査での指摘を受け、追加の工事が必要になった。

 新たな投資として、フィルター付き排気(ベント)設備の機能強化に加え、火災や地震に備えた追加対策を講じる。自主的な取り組みとして新たなガスタービン発電機も設ける。

 中電は2号機の再稼働に向けて適合性審査を受けており、建設中の3号機の申請準備を進めている。自社や他の電力会社への原子力規制委員会の指摘を踏まえ、2基の稼働には追加の投資が必要と判断した。

 中電は昨年3月、安全対策費が従来の1千億円以上から2千億円程度に増えると説明。昨年10月からは2千億円超になるとの見通しを示していた。今後も規制委の指摘があれば、さらに膨らむ可能性もある。

 苅田知英社長は「審査の過程で意見があり、それに応えていく。長い目で見れば、経済性は確保できる」と説明した。

 中電は一連の安全対策で年約260億円のコスト増になるが、島根原発の代わりに火力で発電を続ける場合はさらにコストが高くなるとしている。(河野揚)

(2015年10月31日朝刊掲載)

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