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控訴断念求め声明文 原爆症認定の東京地裁判決受け 原告団や被団協が国に提出

 被爆者17人の原爆症を認定した東京地裁判決を受け、原爆症認定訴訟の全国原告団や日本被団協は30日、控訴を断念するよう求める塩崎恭久厚生労働相宛ての声明文を厚労省に提出した。

 山本英典原告団長(82)や被団協の田中煕巳(てるみ)事務局長(83)たち約30人が同省を訪れ、担当者に手渡した。声明文では、勝訴した17人中12人が、国が認定する病気や被爆条件の対象外であると指摘。今回の判決を「原爆症認定行政を痛烈に批判し、司法と行政の乖離(かいり)が埋められていないことを明確に示す内容」と強調した。

 その上で、認定問題の最終的な解決を図るため、被爆状況などを総合判断した判決の趣旨に沿って制度を抜本改正するよう求めた。

 一行は、同省と約1時間にわたり非公開で意見交換した。終了後、東京訴訟弁護団の中川重徳事務局長は「現行基準が、裁判所の求める水準に達していないことは国も分かっているはずだ。高齢の被爆者のためにも一刻も早く解決すべきだ」と述べた。(藤村潤平)

(2015年10月31日朝刊掲載)

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