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パグウォッシュ会議開幕 被爆70年 長崎で核廃絶議論

 核兵器廃絶を目指す科学者の国際組織「パグウォッシュ会議」の第61回世界大会が1日、長崎市内で5日間の日程で開幕した。40カ国の科学者や軍縮担当者ら約190人が参加。初日は核兵器保有国の軍縮担当者や、被爆医療の専門家たちが、核軍縮の具体策や核兵器の非人道性をテーマに議論した。

 この日は長崎大医学部記念講堂であり、市民に公開。組織委員長の鈴木達治郎・長崎大核兵器廃絶研究センター長が「廃絶のために革新的なアイデアを」とあいさつした後、三つの全体討議を開いた。

 「核兵器廃絶への道筋」では、核超大国の米国とロシアの担当者が登壇した。米国のアニタ・フリード国務次官補代理は「人道的問題に同意はするが、核抑止力も重要だ。二者択一では、核兵器保有国も交えた議論は進まない」と強調。非人道性を訴えて核兵器禁止条約締結を目指す非保有国の動きをけん制した。

 一方、ロシア外務省のミハイル・ウリヤーノフ不拡散・軍備管理局長も「核による安全保障を確保した上での段階的な交渉以外の軍縮は非現実的」と述べた。非保有国や非政府組織(NGO)の参加者は会場から「会議が掲げる『人間性』の観点で道筋を示してほしい」などと反発した。

 非人道性をテーマにした討議では、日赤長崎原爆病院の朝長万左男名誉院長が、被爆で白血病やがんが増えたデータを基に「放射線は遺伝子を傷つける。唯一の治療法は核兵器廃絶だ」と訴えた。北東アジアの非核兵器地帯構想についての討議もあった。

 日本開催は広島市であった2005年以来10年ぶりで、長崎市では初めて。2日は「南アジアの核リスク」が議題となる。(水川恭輔)

(2015年11月2日朝刊掲載)

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