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広島駅北の変遷 映像に 綿畑→練兵場→戦後の復興→再開発 回想や写真交えつづる アマ2人、西区で12日上映会

 戦前は陸軍の部隊が置かれて練兵場が広がり、現在は再開発が進むJR広島駅の北側一帯(広島市東区)の変遷を、アマチュア映像作家グループ「広島エイト倶楽部(くらぶ)」のメンバー2人が、21分の映像作品にまとめた。元兵士の証言や古い写真などを集め、戦争と平和の歴史を描いている。(客員編集委員・冨沢佐一)

 佐々木博光会長(80)=安佐南区=と会員の星賀靖典さん(68)=同=で、タイトルは「広島駅口新時代~エキキタ今昔」。江戸時代は綿畑だったが、明治になって広島駅設置と前後して、騎兵第5連隊が置かれ、東練兵場のある重要な軍事拠点に。原爆投下、戦後の復興、そして急ピッチで進む再開発―。その移り変わりを関係者の証言や写真を交えてつづっている。

 映像では、戦時中、練兵場で軍事訓練を受けた当時の中学生は「国に命をささげようと友と誓い合った」と回想。原爆で本殿などが焼失した東照宮の久保田訓章宮司(83)は被爆後、毎日焼酎をあおる父親を「朝から飲みんさんな」とたしなめたところ「なにぃ、この痛さが分かるか」と、顔の半分に残るケロイドを見せたと話している。

 騎兵第5連隊の取材では、元兵士の会「もえぎ会」の93歳の生存者がいるのを突き止めるまでに2年かかったという。「私たちに平和の意義を問い掛けるエキキタです」の言葉で作品は締めくくられている。

 佐々木さんは「エキキタには日清、日露戦争や原爆など広島の歴史が凝縮されている。地域の歴史を知ることは未来を考えることでもある。若い人にも見ていただきたい」と話す。駅周辺の変化を映像にまとめた「広島駅口新時代」シリーズは今回が3作目。

 作品は、12日午後0時半から西区民文化センターである倶楽部の「第56回公開上映会」で発表する。入場無料。佐々木さんTel090(7374)4310。

(2015年11月2日朝刊掲載)

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