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原発が古里を奪った 福島から6月移住 安佐北の青木さん

 福島第1原発事故を受け、計画的避難区域の福島県飯舘村から広島市安佐北区大林地区に移り住んだ青木達也さん(38)が20日、市民団体の結成総会に招かれ、家族と一緒に古里を離れた経緯を語る。青木さんは「被災地の実情を伝えたい。原発と人間が共存できるのか考える機会になれば」と話している。(有岡英俊)

 青木さんは妻千春さん(39)、中学2年の長男(13)、小学6年の長女(12)、2歳の次女の5人家族。福島第1原発の事故後も約40キロ離れた同村の自宅で暮らしていた。しかし「子どもの健康のため」と決断。15年勤めた鋳物工場を退職し、6月1日に大林地区に移り住んだ。同村に被災者受け入れを打診していた大林地区の紹介を受けた。

 青木さんは「原発事故が自然豊かな古里を奪った。当初、放射能被害の危険性はまったく伝えられず、村が国に見捨てられたと感じた」と振り返る。

 青木さんは移住後、6月中旬から乳製品工場に勤務。10月下旬に体調を崩し、いまは仕事を辞めている。「長男と長女は元気に通学しており、地域の人に支えられて安心して暮らせる」と感謝する一方、「帰郷できるかどうか見通しが立たない」と将来への不安も打ち明ける。

 市民団体は、同区原水協など各種団体の代表たち21人が呼び掛け人となり発足する「さよなら原発安佐北区民の会」。本年度中に原発事故の写真展、放射性物質による健康被害などをテーマにした学習会を開く予定でいる。総会は午後2時から区民文化センター(可部)である。準備会の鈴木さんTel082(838)0815。

(2011年11月18日朝刊掲載)

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